東昇株式会社
1. 経営ビジョン ― デジタル・AI が当社の事業環境に与える影響
当社は2024年の設立以来、不動産投資を事業の基盤としてきました。大阪市内に保有する収益物件を賃貸及び宿泊施設として運用しており、その運営は、契約や予約の管理、多言語での問い合わせ対応、施設の案内、清掃や設備の手配、法令に基づく記録の作成といった、頻度が高く言語をまたぐ業務の積み重ねで成り立っています。少人数で運営する事業者にとっては、これらの業務量がそのまま運用できる資産規模の上限となってきました。
生成AIの実用化は、この前提を二つの面で変えつつあります。第一に、多言語の問い合わせへの一次対応、案内文書の作成、運営データの整理といった業務を、人員を増やすことなく一定の品質で行える環境が整ってきたことです。第二に、企業や行政における生成AIの導入が進む一方で、モデルごとに契約や管理画面が分かれ、利用の実態と費用を把握しにくいという課題が生じており、AIの計算基盤そのものが新たな投資対象として立ち上がってきたことです。
当社は、投資と、その投資を収益に変える運営とを一体で営む事業者です。これまでは不動産に投資し、その運営として賃貸・宿泊を行ってきました。当社は、「投資の対象を不動産からAIの計算基盤へ移し、その運営として、複数の大規模言語モデルの利用枠を調達し、単一の契約と管理画面で企業・行政に提供する生成AIクラウドサービスを営む事業者」となることを経営ビジョンとして掲げます。保有する不動産とその運営は引き続き維持し、生成AIによって効率化します。
2. デジタル・AI 戦略
上記のビジョンを実現するため、当社は次の四つの取組みを進めます。
(1) 投資配分の転換 ― 不動産からAI計算基盤へ
今後の新規投資は、不動産の追加取得ではなく、生成AIクラウドサービスの提供に必要な計算基盤(サーバー等)及びソフトウェアへ振り向けます。クラウド基盤を主とし、処理量に応じてデータセンターの区画を借り受けて自社サーバーを設置する構成を段階的に整備します。保有する不動産は引き続き運用し、その収入をAI基盤への投資原資とします。
(2) 生成AIクラウドサービスの提供 ― AI基盤投資に付帯する運営事業
複数の大規模言語モデル提供者から生成AIの利用枠を調達し、企業・行政の利用者に単一の契約と管理画面で、利用量(Token換算)に応じて提供する予定です。部門別の利用量を可視化し、契約形態は従量制、月額、年間契約及び基本料と従量の組合せから選択できるものとします。提供者ごとの調達条件と提供価格の差を継続的に管理し、保有資産の運用収入に依存した収益構造から、サービス提供による収益を併せ持つ構造への転換を図ります。
(3) 投資判断と収益管理のためのデータ基盤の整備
モデル別の調達原価と提供単価、顧客別の利用量、計算基盤の稼働状況、並びに保有資産の契約・稼働・料金・費用に関するデータを一元的に管理し、粗利と投資回収を月次で把握して、不動産及びAI基盤への投資判断に用います。属人的な経験に依存しない経営判断を可能にします。
(4) 保有資産の運営業務のAI化
保有資産(賃貸・宿泊)の運営業務を生成AIを前提とした工程へ再設計します。多言語での問い合わせへの一次対応、案内文書や利用規則の多言語での作成、清掃や設備の手配に関する定型連絡の自動化、並びに契約・記録類の電子管理を順次進め、少人数のまま運営できる資産規模と対応品質を高めます。
3. 推進体制と人材
現在、当社のDX及びAI活用の推進は、代表取締役が統括しています。意思決定から実装までの距離が短いことを小規模事業者の利点と捉え、施策の立案から実行までを迅速に行う体制をとっています。
人材面では、次の方針で取り組みます。
- 代表取締役自身が、生成AI技術及び関連する制度動向の学習を継続し、自社の運営業務に適用できる水準で技術を把握した状態を維持します。
- 今後の要員拡充にあたっては、AIを活用した業務遂行を前提とした人材の確保及び育成を行います。
- 外部の技術者及び専門家との協業により、当社単独では不足する専門性を補完します。
4. IT 環境の整備
当社は、次の環境を事業基盤として整備・運用します。
- 計算基盤(クラウド及び自社設備) ― 生成AIクラウドサービスはクラウド基盤を主として構築し、投資配分の転換に伴い、処理量に応じてデータセンターの区画を借り受けて自社サーバーを設置する構成を整備します。
- AI基盤 ― 複数の大規模言語モデル提供者を利用し、モデルを切り替えて処理を振り分ける基盤と利用量の計測を自社で保持することで、単一の提供者に依存しない構成とし、サービスの継続性を確保します。
- データ管理 ― 調達・提供・利用量・収支に関する記録及び資料を電子的に管理し、外部プラットフォームに依存しない形での保全を行います。
- 資産運営基盤 ― 賃貸・宿泊の契約や予約の管理、外部プラットフォームとの連携をクラウドサービス上で行い、法令上必要な記録を電子的に管理します。
- 情報セキュリティ ― 別途定める「情報セキュリティ基本方針」に基づき、情報資産の保護及びAI利用時の情報の取扱いに関する対策を実施します。
5. 成果指標(KPI)
当社は、本方針に基づく取組みの進捗を、次の指標により評価します。
| 指標 | 現状(第2期実績) | 目標(第5期まで) |
|---|---|---|
| 生成AIクラウドサービスの提供開始 | 未提供 | 第3期中(2027年1月31日まで)に提供開始 |
| 生成AIクラウド事業の売上高比率 | 0% | 第5期までに50%以上 |
| 売上高 | 8,528千円 | 第5期までに第2期比3倍以上 |
| 保有資産の運営における問い合わせ一次対応の AI 化率 | 測定開始前 | 第5期までに70%以上 |
| 情報セキュリティ事故の発生件数 | 0件 | 0件を維持 |
当社の事業年度は 2 月 1 日~翌年 1 月 31 日。第2期= 2025 年 2 月 1 日~2026 年 1 月 31 日、第3期= 2026 年 2 月 1 日~2027 年 1 月 31 日、第5期= 2028 年 2 月 1 日~2029 年 1 月 31 日。
指標の測定結果は、事業年度ごとに確認し、必要に応じて施策及び目標値を見直します。
6. 推進状況
当社は本方針に基づき、次の取組みを実施しています。
- 新規投資を不動産からAI計算基盤へ振り向ける方針を決定し、計算基盤の投資計画の策定に着手しています。
- 情報セキュリティ基本方針を策定し、対外的に公開しています。
- IPA「SECURITY ACTION」二つ星を自己宣言済みです。
- 保有資産の運営業務について、生成AIを適用する業務の洗い出しと導入の優先順位付けを行っています。
取組みの状況は、事業年度ごとに本方針とあわせて見直し、更新します。
策定日:2026年8月28日 東昇株式会社 代表取締役 彭 鵬
本方針は、代表取締役の決定に基づき制定しています。